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修業記①:漢方赤ひげ堂

漢方赤ひげ堂 竹内信幸(竹内信賢)院長、及びお世話になった先生方へ 

竹内信幸(竹内信賢)院長をはじめ、既に門を出ていらっしゃる先生方、後を継がれている先生方には大変お世話になりました。たった丸二年間の修業期間でしたが、貴重な臨床経験となりました。

 

今振り返って思い起こせば、私が赤ひげ堂に入門する時に山岸泰広先生が対応して下さったことが既に運命的なものだったのかもしれません。通常の面接担当の先生が多忙でタイミングが合わず、渋々山岸先生が受けて頂きました。当時の私は世間一般の社会常識から逸脱したところがありましたが、自分の純粋な志を山岸先生に思い切りぶつけて赤ひげ堂の門に飛び込んだものです。懐の大きい山岸先生は私の熱意を買って下さり、入門して間もない頃の馴染めない私を温かく見守って頂いたことをありがたく思います。もし山岸先生でなければその後の展開は違っていて、今の私は無かったのかもしれません。この場を借りて感謝の意を申し上げます。

 

赤ひげ堂に入門すると、その志を試すかのように容赦ない洗礼を浴びることとなりました。今の時代風潮からすると社会問題となるようなことばかりでしたが、それに負けてしまうような生半可な覚悟では何も成し遂げることはできないのだと思います。

 

この業界で初めに戸惑うことは同じ手技でも教わる先生によって全く違う説明をすることです。A先生から教わったことをB先生にそのままやっても合格を頂くことができないのです。これは各個人で感受性が違う為であって、同じものであっても感じ方に差異が生じるからなのだと思います。

 

私は赤ひげ堂にいる色んな先輩から指導を受けたため、練習をする時はその都度手を変えて凌いだ記憶があります。また私はどんな先輩方でも練習から逃げることは一切しませんでした。むしろ解らないところは志願する方で、休診日に毎週ある勉強会もお休みしたことがありません。従って練習量は誰にも負けないくらい※<注1>だと思います。それを繰り返していくと、教える先生の良し悪しも解るようになるのが子供の能力といったものです。しかしどんな場合にしろ、きちんと立場を弁えて相手を尊重する心構えと言動がなければ自身の向上はなく上達もありえません。意外にも自分の苦手とする相手から学ぶことは実に多いのです。初学生で辛抱が出来ずに脱落していく人もいますが、こういったことが本当の修業のように思えます。

 

このように頑固な私が色々な先生から指導を受けたことによって柔軟性を発掘したことが後になって生きて参ります。相手との共感力が身に付き、百人百色である患者の訴えが解るようになってきたのです。そうすると相手に合わせて手技を施せるようになります。今現在はどんな人でも合わせられるようにはなっているとは思いますが、最近は自分の味をありのまま出している気がします。

 

一方の竹内院長先生はというと第三の眼が開いており透視能力を持ち合わせた方でしたが、気性の荒い性格もあり、鍛え甲斐のある弟子に対しては決して手加減することはなく、容赦なく拳で殴ったり物で頭を叩くような師匠です。私も毎日何発も殴られたものです。今の時代だと体罰という批判する声も出てくるかもしれませんが、それでも私はただ只管に学びたかったということを申し上げます。当時の私は赤ひげ堂に来られる患者さんの事を考えると、院長から殴られた痛みなんてものは軽過ぎると思ったからです。赤ひげ堂ではガン患者は普通に来院され、奇病難病も珍しくはありません。そもそもお粗末な手技を患者に施して※<注2>金品を奪い取ることなんぞありえない話であって、当院が成果重視を方針に掲げている理由はそこにあります。

 

そんなママゴトのような半端な医療を酷く嫌い、本当に困っていて病める人を見過ごすことができなかったのが当時の私でした。偽りのないものを真剣に探し求めたのです。それほど純真無垢だったのだと思います。これは今も変わっていませんが、近頃は努力という自力の限界を悟り、もっと大きな巡り合わせのような力があることも悟り、随分と楽になって余分な力が抜けています。

 

そのような青二才である当時の私を見透かした竹内院長は真剣に関わって頂きました。竹内院長は当時の私と同じ年頃には懐に短刀を忍ばせて自刃する覚悟でこの道を歩んでいたようです。そこで編み出した技が三角相関相似性相関です。この話を聞いて竹内院長と巡り合ったことになぜか納得しました。

 

ただ竹内院長と手技練習をする時は具体的指導を受けることは一切ありませんでした。基本的に手技を教わるのは先輩の先生か患者さんからになっており、日頃の成果を竹内院長との手合わせによって確かめていくようなものでした。勿論、練習時にマヌケなことをやると容赦なく拳や蹴りが死角から飛び込んでくることになりますが、そんな竹内院長が私の手技を受けてベタ褒めすることも何度かあったのは覚えています。当時の竹内院長の教育は ” 人間的に成熟すれば技術が上達する ” というものだと思います。

 

私に素質があったのかは分かりませんが、竹内院長が ” 徳ちゃんは自分の信じた道を往きなさい ” と、そのように言われたことが3回くらいあります。普段は鬼のような恐い様相をしている竹内院長が、不気味なくらい静まった機嫌の良い表情なので鮮明に覚えています。私にとって竹内院長の言葉が赤ひげ堂で学び得た一番の財産なのかもしれません。

今現在の私は自分流ではありますが、手の感覚や診断力は赤ひげ堂の道があったからだと感謝しております。また竹内院長が編み出した「三角相関」「相似性相関」は基本理論である経絡経穴論からの派生技として捉え、森羅万象を解き明かす弁証法として拝借しております。この場を借りて感謝の意を申し上げます。

 

※<注1>
 赤ひげ堂では手技練習を行いますが、初めは親指がしゃもじのように膨れ上がります。約1年くらいで親指だけで腕立て伏せができるくらいの指に仕上がります。特に腕立て伏せは出来なくても良いのですが、これがある種のボーダーラインで目安になります。この基礎体力が出来上がると、深い層まで人体が見通せるようになっていきます。これでも半人前にさえ到達しないと私は思います。

 

※<注2>
 赤ひげ堂では国家資格が無いお弟子さんでも、赤ひげ堂に来られる患者さんに手技のみを行っています。これは治療家を育てるという方針から来ており、社会的法律上において許されない声もあるかもしれませんが、竹内院長はそれを覚悟の上で全責任を負っています。勿論、主担当の先生は国家資格を有しておりますのでご安心下さい。従って患者さんは手技で不満を感じることがあれば遠慮なく主担当の先生に伝えて下さい。竹内院長の場合も同じくです。その後の惨事は・・・ お察し下さい。。。

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