皆さん、こんにちわ。
 今日は自身が体験したことを症例としてご報告します。

 

 実は昨日の夕方に親不知を抜歯することになりまして・・・。歯科医が上手に処置をして下さった為、抜く時は痛みが少なく平気でしたvしかし、その後が大変だったんですね。

 麻酔が切れるにつれ傷口がズキズキと痛みだし、血が通っているのが分かります。出血がままあったせいなのか、すこぶる 悪寒 が襲ってきました。(←ココ大事!)
 所謂、背中の風門穴・肺兪穴あたりがスースーして、ゾクゾクのような寒い感じです。出血により衛気と栄気の不調和(衛営不和)が引き起こされ、寒邪(かんじゃ)と風邪(ふうじゃ)が外感したのではと考えています。

 

風門・肺兪

風門・肺兪

 ※丸で囲んだ部分あたりがスースーする場合は、既に風邪(ふうじゃ)が体表に襲われ始めています。寒気を感じる場合は寒邪(かんじゃ)も襲っています。風の門と言われる所以ですね。図の黒点である一番上が風門(ふうもん)です。その下が肺兪(はいゆ)です。

 

 

 

 

 

 



 この悪寒というものを考察するに、おそらく ”これから熱を発しますよ” という合図なんだと思います。そして人間の体が切り傷を修復する場合、外邪と戦わねばならず、その時に熱を発するのだと思います。基本的には傷口が大きければ、その熱も大きく、親不知の場合は顎が腫れたり、膨れたりするのでしょうね。きっと私だけではなく、親不知を抜歯した後に高熱を出して寝込んだ方はいらっしゃるのではないでしょうか。他、外傷による大怪我などで出血をしてしまうと少なからず高熱を発するような事態に陥る気がします。

※違っていたらごめんなさい

 悪寒がするということは、既に邪気(主に寒邪と風邪)が体の表面にいる状態であり、傷寒論でいう「太陽病」にあたります。このような状態はじとーっとした発汗によって、表面による邪を追い払います。これを処置せずに放っておくと「太陽病」→「少陽病」→「陽明病」※注1に移り実熱となって高熱を出し、便秘になります。
 なので、きっとこれから大熱が出て腫れるんだろうなぁと予見できましたので、この症状は麻黄湯だなと直ぐに理解できました。早めの処置さえすれば、2,3日も寝込むことがなく大熱を出さずに済みます。これは今流行っているインフルエンザも同じくです。

 

※注1:①太陽病(悪寒・頭痛) ⇒ ②陽明病(高熱・便秘) ⇒ ③少陽病(病み上がり) というケースもあります。

 

 でゎ、麻黄湯について少しだけ解説しようと思います。麻黄湯の出典は「傷寒論」です。

 

【原文】 「太陽病、頭痛、発熱、身疼、腰痛、骨節疼痛、悪風無汗而喘者、麻黄湯主之」

 

【訳文】 「太陽病とは、頭痛、発熱、筋肉痛、腰痛、関節痛、悪寒があり、汗が出ておらず、咳やくしゃみをする者であり、これを麻黄湯が主る」

 

 太陽病とは感冒の初期段階であり、頭痛がして、項部がこわばり、脈が浮いた状態です。そして無汗で悪寒が激しいもの、脈は浮脈でも緊脈であることが目安です。こういった場合に麻黄湯が良いですよと古典では伝えています。

 

 風寒の邪を発汗解表させるのですが、この発汗の仕方に少しだけ注意が必要です。

 

 ダラダラ汗は ✕(額から滴り落ちる汗)

 じっとり汗が ◌(額から滲み出てる汗)

 

 なので、サウナや入浴によってダラダラと汗をかいてはいけません。このことから感冒の初期にお風呂に入らない方がいいと言われる所以なのだと思います。ちなみに唐辛子も発汗作用がありますが、ダラダラ汗になるのは逆に体を冷やしてしまいます。あくまで表面にある邪が対象なので、じんわりと汗をかくことです。

 

 麻黄湯の内訳(1日分)は・・・

生薬 漢方的効能
麻黄(まおう) 4.0g 発汗解表・宣肺止咳
桂枝(けいし) 3.0g 発汗解肌・温通経脈
杏仁(きょうにん) 4.0g 平喘止咳
甘草(かんぞう) 1.5g 調和薬性

 

 麻黄と桂枝で発汗作用を相乗させて、風寒の邪を追い払います。杏仁は咳やくしゃみ、ぜーぜーと喘ぐほどの呼吸を整え、麻黄の補佐役となります。甘草は全体を纏めるといった役割です。使用する判断ポイントは、無汗・悪寒・発熱・頭痛・腰痛・関節痛・ぜーぜーと喘ぐほどの呼吸・脈は浮緊。発熱は無くても、悪寒が激しければいずれ発熱します。
 麻黄は体温を上昇し発熱させることによって炎症反応を惹起し、細菌やウイルスを死滅させる治療方法です。歯科医より抗生物質と痛み止めを処方されましたが、痛み止めは熱を下げると注意書きがありましたので、麻黄湯とは逆の方法となります。近年では内科医でも風邪やインフルエンザで麻黄湯が処方されることもあるようですが、解熱剤も飲んでしまうと麻黄湯の効能があまり出ないと思われます。
 但し、麻黄はエフェドリンを含み交感神経を刺激します。故に体温が上昇するわけですが、やや毒性の強いものなので副作用として慎重に使わなければならないこともあるようです。(重度の高血圧症、狭心症や心筋梗塞などの循環器疾患、甲状腺亢進症を患っている方など)
 この「麻(あさ)」について色々と蘊蓄があるのですが、別項目で記述したいと思います。

 

 ちょっと蘊蓄を傾けてしまいましたが、実は昨晩の時点で麻黄湯を持っていなかったのです。そこで葛根湯を多めに飲み、体を温めて発汗させました。葛根湯は桂枝湯に麻黄と葛根を加えたもので、汗が出ず、特に項背部がこわばる場合に使われます。これを応用して肩コリにも使用されたりします。また「太陽病+陽明病」で下痢をする場合に用いたりすることもあります。葛根湯や桂枝湯も感冒の初期に使われますが、これも別の項目で記述したいと思います。

 漢方薬の達人からしてみれば、まだまだ甘いなんて言われそうなんですが、とりあえず一晩を我流でダマシダマシで凌ぎ、ドライヤーをお灸代わりに用いて発汗させたわけですが、汗を拭いてはまた温めての繰り返しです。その度に、やはり体は楽になり、口内の痛みも自然と小さくなっていきました。

 

風池1

風池1

※赤で囲んだところが風池(ふうち)という経穴で、風邪(ふうじゃ)が留まりやすいところです。実際に風門・風池・風府をお灸などで温めることにより発汗を促すことができます。これは麻黄湯や葛根湯を飲んでからの施術が基本です。

 

 

 

 


風府1

風府1

風府2

風府2

※赤で囲んだところが風府(ふうふ)で、”府”とは集まるところの意味です。風寒の邪によって引き起こされた頭痛はこの辺りに起こりやすく、風門・風池と同じくお灸で温めると発汗を促すことができます。

 

 

 

 



 本日の朝に抜歯後の状態を歯科医に診てもらいましたが、問題はないとのことで、1週間後に抜糸とのことでした。

 しかしながら、お昼の時点で悪寒はまだまだ続いており、汗はかかず、節々も痛く、腰痛もあり、脈も浮緊だった為、麻黄湯の症状だなあと思って近くの漢方薬局へ煎じ薬を調剤してもらいました。漢方薬局は 八仙堂相模原店 です。麻黄湯は煎じ薬で1日3回分400円、葛根湯は1日3回分500円です。エキス製剤より煎じ薬は効能が高いのでオススメです。またこのお店のご利用を続けると、ちょっとした割引もしてくれたりしますヨ!

 

 早速、お家へ帰って煎じて飲みました。体温が上昇する感じがありましたが、補助としてまたまたドライヤーをお灸代わりにして、発汗を促しました。案の定、3時間くらいにして8割~9割くらいは症状が改善しました。もう少しおとなしくして養生をしようと思います。

 

 貴重な体験でした。ありがとうございました。